はじめに
膵臓がんは、がんの中でも発見が難しく、進行が早いことで知られています。芸能人の訃報などで名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
「膵臓がんってどんな病気?」「初期症状はあるの?」「どうしてかかるの?」「治療はどんなもの?」といった疑問をお持ちの方へ、この記事では医療知識の少ない方でも安心して読めるよう、やさしく丁寧に解説します。
膵臓がんとは?
膵臓がんは、お腹の奥深くにある「膵臓」という臓器にできるがんです。膵臓は、食べ物を消化する酵素や血糖を調整するホルモン(インスリンなど)を分泌する大切な臓器です。
膵臓がんの多くは「膵管がん」と呼ばれるタイプで、膵臓内の管にできる悪性腫瘍です。
このがんは自覚症状が少なく、発見されたときにはすでに進行していることが多いのが特徴です。
主な症状
● 膵臓がん 初期症状
膵臓がんは「沈黙のがん」とも言われ、初期にはほとんど症状が現れません。それでも、以下のような変化に気づくことがあります。
- 食欲の低下
- なんとなくお腹が重い
- 背中の痛み(特に左側)
- 体重減少
- 倦怠感(だるさ)
● 進行すると現れる症状
- 黄疸(目や肌が黄色くなる)
- 腹痛・背中の痛みが強くなる
- 糖尿病の急な悪化(または新たな発症)
- 消化不良・下痢
糖尿病の発症や悪化をきっかけに発見されることもあります。気になる症状が続く場合は、内科や消化器内科での相談をおすすめします。
原因・リスク因子
膵臓がんのはっきりとした原因はまだわかっていませんが、いくつかのリスク因子が知られています。
■ 膵臓がん 原因と考えられているもの
- 喫煙(膵臓がんの最大の危険因子とされています)
- 慢性膵炎(長期の膵臓の炎症)
- 糖尿病(特に発症から日が浅い場合)
- 肥満・高脂肪食
- 家族歴(膵臓がんの家族がいる)
- 高齢(60歳以上が多い)
また、遺伝性膵臓がんという家系に膵臓がんが多いタイプもあり、遺伝子検査が行われることもあります。
治療法(特徴と副作用)
膵臓がんの治療法は、がんの進行度(ステージ)や患者さんの全身状態によって異なります。
1. 手術(切除可能な場合)
唯一の根治が期待できる治療ですが、膵臓は血管や臓器が密接しているため、難易度が高いです。膵頭部にがんがある場合は「膵頭十二指腸切除術」が行われます。
- 【副作用】:消化吸収障害、膵液漏、食欲低下、体重減少など
2. 化学療法(抗がん剤)
手術が難しい進行がんや、手術後の再発予防として行われます。膵臓がんでは「ゲムシタビン」「FOLFIRINOX」などの薬剤が使われます。
- 【副作用】:吐き気、下痢、脱毛、骨髄抑制(免疫低下)
3. 放射線治療
局所制御や痛みの緩和を目的として使用されます。化学療法と併用されることもあります。
- 【副作用】:腹部不快感、下痢、倦怠感など
4. 緩和ケア(症状をやわらげる治療)
痛みや黄疸などの症状を軽くし、生活の質を高めるための治療です。早い段階から導入することで、治療との両立が可能になります。
まとめ
膵臓がんは、早期発見が難しく、進行が早いがんです。しかし、最近では画像診断や内視鏡技術の進歩により、早期診断の可能性も広がっています。
以下のポイントを意識することが大切です。
- 初期症状はわかりにくいが、背中の痛みや食欲低下に注意
- 喫煙・糖尿病・家族歴がある人はとくに要注意
- 治療は手術・抗がん剤・放射線・緩和ケアが柱
- 医師と相談しながら、自分に合った治療を選ぶことが重要