はじめに
肝臓がんは、進行するまで症状が出にくいため「沈黙の臓器」とも呼ばれる肝臓に発生するがんです。日本では、がんによる死亡原因の上位に位置しており、特に男性に多く見られます。
この記事では、「肝臓がんとはどのような病気か」「初期症状にはどんなものがあるのか」「原因やリスクは?」「治療法にはどんな選択肢があるのか」など、初めての方にもわかりやすく丁寧に解説します。がんに不安を感じている方にも、安心して読んでいただける内容です。
肝臓がんとは?
肝臓がんは、肝臓にできる悪性腫瘍(がん)です。大きく分けて2種類あり、
- 原発性肝がん:肝臓そのものから発生するがん。最も多いのは「肝細胞がん」。
- 転移性肝がん:他の臓器(大腸、胃、乳房など)でできたがんが肝臓に転移したもの。
この記事では、原発性肝がんを中心に解説していきます。
肝臓は、体の代謝や解毒、栄養素の貯蔵など多くの重要な役割を担っているため、肝臓がんになると全身への影響も大きくなります。
主な症状
肝臓がんは初期症状がほとんどありません。しかし、病気が進行するにつれて以下のような症状が現れることがあります。
- 右上腹部の痛みや違和感:肝臓のある部位に鈍い痛みや重さを感じることがあります。
- 体重減少・食欲不振:がんの進行により代謝が乱れ、食欲が落ちたり、急激に体重が減ることがあります。
- 倦怠感(だるさ):疲れやすさや全身のだるさが続くことがあります。
- 黄疸(おうだん):目の白目や皮膚が黄色くなる症状です。胆汁の流れが悪くなることで起こります。
- 腹水:お腹に水がたまって膨らむことがあります。
症状が進んでから発見されるケースも多いため、肝臓病の既往がある方は特に定期的な検査が重要です。
原因・リスク因子
肝臓がんの多くは、肝炎ウイルスによる慢性的な肝炎や肝硬変が原因です。以下の要因がリスクを高めます。
1. B型・C型肝炎ウイルス
- 日本の肝臓がんの約8割が、これらの肝炎ウイルスに関連しています。
- ウイルス感染から長年にわたり肝臓に炎症が続くと、肝硬変を経てがん化するリスクが高まります。
2. アルコールの過剰摂取
- 長期にわたり大量の飲酒を続けると、アルコール性肝炎や肝硬変を引き起こし、がんのリスクが上昇します。
3. 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
- 肥満や糖尿病、高脂血症などに関連し、肝臓に脂肪がたまる病気です。最近はウイルスとは無関係な肝臓がんの増加も見られています。
4. 家族歴
- 肝臓がんの家族歴がある方は、発症リスクが高くなると考えられています。
治療法(特徴と副作用)
肝臓がんの治療は、がんの進行度、肝機能の状態、全身の健康状態などによって異なります。以下に代表的な治療法をご紹介します。
1. 外科的手術(肝切除)
- がんが1カ所に限局していて、肝機能が良好な場合に選択されます。
- 【副作用】:術後の痛み、感染症、出血、肝機能低下などが起こる可能性があります。
2. ラジオ波焼灼療法(RFA)
- がんに電極針を刺し、熱で焼きつぶす治療法。小さな腫瘍に有効です。
- 【副作用】:発熱、腹痛、肝機能障害などが一時的に起こることがあります。
3. 肝動脈化学塞栓療法(TACE)
- がんに栄養を送っている血管に抗がん剤と塞栓物質を注入し、がん細胞を兵糧攻めにする方法。
- 【副作用】:発熱、吐き気、肝障害、腹痛などがあります。
4. 分子標的薬
- がん細胞の特定の分子をターゲットにする内服薬(例:レンバチニブ、ソラフェニブなど)。
- 【副作用】:高血圧、手足のしびれ、食欲不振、下痢など。
5. 免疫チェックポイント阻害薬(免疫療法)
- 体の免疫ががんを攻撃できるようにする新しい治療法。
- 【副作用】:自己免疫反応による副作用(肝炎、皮膚炎、腸炎など)がありますが、効果が長く続く場合もあります。
まとめ
肝臓がんは初期症状が少なく、発見が遅れることが多いがんです。しかし、定期的な検診やウイルス性肝炎の早期発見・治療によって予防・早期発見が可能です。
肝臓がんの治療は進歩しており、症状や病状に応じたさまざまな選択肢があります。不安な気持ちもあるかと思いますが、医師とよく相談しながら、ご自身に合った治療を見つけていくことが大切です。
この記事が「肝臓がん 初期症状」「肝臓がん 原因」「肝臓がん 治療法」に関心のある方にとって、少しでも役立つ情報となれば幸いです。